先々週のアクタージュは「熱さは人の本音を引き出す」でした

こんばんは、しゃっくりが一週間以上止まらなかった田中聖斗です。

小学生たちは「しゃっくりは100回したら死ぬ」という言葉をよく口にしてきましたが、一分間に36回もしゃっくりしていた身からすると、たった3分で死ぬ計算です。そう、デマなんです。

 

さて、アクタージュもどんどんと進んでしまい、こちらも遅れ気味。ギリギリ先々週号です。

※20.1.7 引用を適正な量にて内容も若干修正しました

(以下ネタバレ)

scene.72 努力

山で、彫刻家で作家で演出家の山野上花子の手ほどきによって、「神」を演じるなんたるかを身につけた主人公 夜凪景(よなぎけい)。

とてもじゃないが一緒に演じられないとバカにされた、共演者のハリウッド俳優 王賀美陸(おうがみりく)を見返すべく、約束の三日目に戻って演技を見せるはずが、あいにくの雨。

自分は人知を超えた力を出せる「特別な人間」だと思い込んだ夜凪は、「雨が降っていようと無事下山してみせるわ」と自信満々でしたが、そこはセーラー服で山を登ってくるような非常識女子高生の夜凪。30才で一応分別ある大人としての役割も担う山野上は、それは危険だと言っていたのですが、今回ではそれをどう解決したのかを見せてくれる回です。

その結果は・・・

 

別ルートで下山!!

 

地味ですが普通でした。

ただ、それゆえに、約束の時間に間に合わないんじゃないの?

というような雰囲気作りをしています。雨の中、セーラ服を着て、バックパックを前後につけて、びしょ濡れになりながらバイクの後ろにのる主演女優は、世界を探しても夜凪くらいでしょう。映画化されたらまっさきにカットされてしまう気もします。

それにしても、夜凪は「王賀美の連絡先も知らないし、スマホの充電も切れてる」と言っていますが、山野上は、用意をして山を登ってるくらいなので、充電器も持っているはずだし、王賀美の電話を知っている(というか一緒にいる)プロデューサー天知の連絡先くらい知っているんじゃないでしょうか?・・・と思ったりしたのですが、どうなんでしょうね??

 

とりあえず、夜凪がそんなことになっているとは露知らずの王賀美さんは、夜凪を待ちくたびれて、いつの間にか約束の場所認定されていた寺から空港に足を向けます。もう、これ以上は待てない。そんな優しさなんてかけられない厳しい人なのです。うらやましい性格です。

その前に、共演予定だった、白石サンと市子さんが来て、足止めを図りますが、それで止まる王賀美ではありません。

「空港まで送れ」

自分をパパラッチしていた記者をタクシー代わりにする王賀美陸(26)。
今時珍しいくらい傍若無人な感じが、ホントに孫悟空役にピッタリですが、実際にこんな人いたら、SNSですごい叩かれるでしょうねぇ。

 

にしても、

どうみても32才に見えない白石サンは、王賀美陸とどういう関係なんでしょうか?

こんな傍若無人男が、「サン」と敬称をつけて呼ぶくらいだから、この白石サンは、王賀美も認める役者ということなのでしょう(次々回scene.74でチラッと関係性が明かされますが)。

 

空港のロビー?に堂々と座り、注目を浴びる王賀美。

「これで何度目のドタキャンですか」

王賀美陸は、舞台に出るために来日したはずなのに、空港にいること自体で、マスコミもファンも、大きく騒ぎます。

SNSでのバッシングなんか気にもしないスター、王賀美は、堂々と時計の下で座って待っていますが、一体どこで待っているんでしょう?

羽田空港に行ったことがないのでよくわかりませんが、こんなに人が集まるなら、搭乗ゲートじゃないよね? ということは、出発ロビーってことでしょうか? そこでデーンと座って待っている必要性はあるのでしょうか?

そういえばその昔、俳優 大泉洋が、長崎の大スター福山雅治とのエピソードを紹介した時に、「スターは大変だよね」と福山に同情した大泉が、長崎空港に着くと福山と共にVIPルームに通されて、五島うどんが運ばれてきた時に「どう? 洋ちゃん。スターも悪くないでしょ?」と語ったという話は有名ですが、王賀美陸だってハリウッドスターなのですから、こんなみんなの注目されているところで待っていなくても・・・いや、その自然体が王賀美陸なんでしょう、きっと、きっとね!

 

さて本題。

王賀美とともになのかよくわかりませんが、結果として空港に着いてきたプロデューサー天知と、共演(予定)の武光くん。
相変わらずの説明要員として頑張る武光くんですが、この後、通常はウザがられる彼の熱さが、王賀美陸の本音と魅力の秘密を引き出します。

 

天知の方も、大ピンチ。

王賀美陸というビッグネームを連れてきたのに、その人に講演前に帰られるなんて・・・

 

王賀美陸をダシに集めたスポンサーからの電話が鳴り止まない天知。

しかし、どこか他人事なその姿に、武光が逆に焦る展開ですが、天知には、やはり、天才が嫌いと言うほどなので、人一倍、演劇に対しての想いが強いのでしょう。天才なら、こんなことすらも乗り越えろと。そして、それをやれるからこそ、自分が敵わない・・・そんなことを理解しているような雰囲気です。

しかし、彼のそんな想いとは裏腹に、「悪徳プロデューサー」として大々的につるし上げられる天知。

「こいつの名は 天知心一 悪徳プロデューサーというやつだ 各社気をつけろ」

ワンピースであれば映像電電虫で世界中に「俺は海賊王になる! ドン!!」という感じなくらいで、大型ビジョンで紹介された天知。

口では「職を失いました」なんて言って、凹んでるよう風なことを言っていますが、凹んでいないのでしょう、きっと。目が本気じゃありません。

 

しかし、そんな天知なんか役にも立たない、コイツじゃダメだ、なんとかして足止めしないと!と熱く燃える武光くん。

夜凪が来る時間を稼ごうと、必死に王賀美に訴えます。

 

「演じることが俺たちの仕事! 他のことは関係ないでしょう!」

熱く、若い武光くん。

他のことが関係なかったら、闇営業問題とか経営批判とかもないのです。関係はあるんです。
でも、そういったことに縁のない、若く、そしてまだ「誰だあいつ?」と言われてしまう武光くんだからこそのセリフです。

だからこそ人は簡単に動かないんだけれども、本音を引き出すことくらいは出来るのかもしれません

 

武光くんの真剣な想いに、応えるというか向き合う王賀美陸は必見です。

自分は俳優になるための努力なんてしたことがない。

でも、人々から愛される自分。

そんな自分をふり返り、気づいたたった一つの真実。それが、王賀美陸が王賀美陸であり続ける理由だと語ったのです。

「俺が俺であり続けること
それが俳優になってから
唯一俺が続けている努力だ」

なんでしょう、このカッコ良さは。

夜凪からは「前髪三本」などと陰で揶揄され、唯我独尊キャラ感を前面に出してきた王賀美陸の本音であり、役者としての本質を「俺が俺であり続けること」という自身に課した努力というか約束というか信念が明かされたのです。

この言葉を見て、なんか、尾崎豊の『僕が僕であるために』を思い出しました。私だけですか??

そういえば尾崎豊も、強烈な個性を発揮し、そしてブレず、そのまま還らぬ人になった伝説の人。

王賀美陸も同じ系譜の、スターとして強烈な個性を発揮しますが、尾崎との違いは、尾崎は『僕が~』の歌詞の中でも、その、繊細でセンシティブな感性により、芸能の世界では確かに認められはしたが、自身を押しつぶそうとしている世間や社会や常識といったものと戦おうとする純粋な気持ちを儚げに歌い上げているが、王賀美陸の場合は、基本的に「自分勝手」というレッテルを貼られながらも、圧倒的なスケールの世界(ハリウッド)で認められ、多くの人に受け入れられているという現実が、揺るぎない「自分」を作り上げた・・・という人物像なのでしょう。

危なげだけど儚げでない

 

その根底にある王賀美陸の、個の強さ、信念の強さを支えているのは、

「お前はそれでいい」という、いわば世間からの評価なのでしょう。

 

これは尾崎に限ったことではありませんが、創作の世界では時に、誰のどの評価を信じていいかわからなくなる時があるようです。

世間と戦ってしまうと、どれが世間かわからなくなる。かといって媚びてしまうと、「自分らしい表現」というのがかき消えてしまうような不安も生まれる。結果、どの表現が正しくて、どの表現が間違っているのかという創作の負のスパイラルに陥り、「自分はダメだ」と追い込んで自らをダメにしてしまうことだってある。そうやって創作の世界から離れていった人は一人や二人ではないでしょう。
創作と商業は切り離せない部分があるからこそ、なおさら、その辺のギャップにもだえ苦しむ人もいるでしょう。

そんな中、王賀美の場合は、創作のために身を捧げたというわけでもなく、何もわからないまま突っ走ってきた中で、周りの評価を、「そのままでいい」という己の力になる声に変える、わかりやすく言えば「勘違い力」というのを持っていました。それが、夜凪も含め、並の役者を飲み込む「圧倒的な存在感のある演技」を生んだのです。

 

そこで、「勘違い力」を身につけた夜凪が登場!

・・・というわけにはいかず、とりあえず、天知が「あーやばいですねー(棒読み)」みたいな感じでいた態度の秘密が明かされます。

王賀美陸を呼び止めたのは、敵方の二人、若手実力派俳優 明神阿良也と、スターズの天使 百城千世子です。

 

夜凪に何かを期待してそれが無駄だったとか思ってるかもしれないけど、そうじゃない、お前の遊び相手は俺たちなんだと王賀美陸の前に立ちはだかるわけです。

 

この出方はすぐやられてしまう咬ませ犬感がハンパないけど、彼らに見せ場はあるのか?

そして、これだけスケールの大きい相手に本当に二人は勝てるのか? 見せ場はあるのか?

 

今後の展開に注目です(すでにわかってるけど)!

(出典:週刊少年ジャンプ 2019年32号 『アクタージュ』scene.72 「努力」)

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